Jリーグで話題になっている秋春制への移行について長年議論されていますが
現在の課題や移行するメリットなどについて気なりますよね。
雪国のJリーグサポーターが秋春制への移行について徹底調査した内容を徹底解説します!
雪国チームのサポーターが秋春制移行について調べ
できるだけ正確な情報をまとめました。
最後まで読んでいただければ秋春制について全容が理解できるので
皆さんの考えの材料にしていただけたら嬉しいです。
Jリーグの秋春制の導入スケジュールについて
野々村芳和チェアマンの元2023/04/25にJリーグから発表された
秋春制の議論スケジュールになります。
・4月中に初期整理を完了し
・5月にかけて「メリットの明確化」「懸念点と解決方策の明確化」を実施予定
・5〜7月に「必要な情報の収集・整理」
・7〜9月に「整理した情報を元にした方向性の議論」のフェーズに入り
・年内に理事会で正式な決議を取る予定
(※1)
現在のシーズン制度(春秋制)について
秋春制の解説の前に、現在のJリーグのシーズン制度について解説します。
現在は2,3月開幕し11,12月最終の馴染みのある「春秋制」で行われています。
一時は天皇杯決勝が元旦(1/1)に行われていて、その日がシーズン最終戦でした。
※現在は選手負担の軽減目的で変更されています
Jリーグが過去に断行して物議を起こした2ステージ制について
秋春制の解説の前に、Jリーグが過去に議論し断行した制度を紹介します。
この事例を知ることで
Jリーグに秋春制の判断を信じて問題無いのか?
Jリーグの判断基準は?
などの疑問の答えが垣間見えます。
大東和美チェアマンの元2013年9月17日に
J1リーグにて2ステージ制の2015年からの導入が決まりました。
村井満チェアマンの元で最終的には2年で廃止され2017年から元の1ステージ制に戻りました。
簡単に2ステージ制について説明すると
今までは「1年を通して最も勝ち点の多いチームが年間チャンピオン」というシンプルなルールでしたが
2ステージ制は「年間勝点1~3位のチームと、第1ステージと第2ステージの覇者の最大5チームで
チャンピオンシップトーナメント行い、トーナメント優勝チームが年間チャンピオン※」(分かり辛すぎっ)
※
・明治安田生命J1リーグ年間勝点1位のチームは常に決勝へシードされる。
・5クラブが出場する場合、年間勝点1位のチーム以外の4クラブにより1回戦を行い、1回戦の勝者により準決勝を行う。なお、1回戦の組み合わせは、年間勝点2位のチーム対年間勝点が下位のステージ優勝チーム、年間勝点3位のチーム対年間勝点が上位のステージ優勝チームとする。
・4クラブが出場する場合、年間勝点1位のチーム以外の3クラブのうち年間勝点2位のチームが準決勝へシードされ、年間勝点3位チーム対ステージ優勝チームにより1回戦を行う。
・3クラブが出場する場合、年間勝点2位チーム対年間勝点3位チームにより準決勝を行う。
2ステージ制の断行に関して2つのなぜ?について解説します。
①なぜ2ステージ制を導入したのか?
②なぜ2ステージ制を2年で廃止したのか?
①なぜ2ステージ制を導入したのか?
唯一にして最大の目的は
「チャンピオンシップによってリーグ戦の山場を多く作り
地上波などでのメディア露出を増やすことで、スポンサーも増えて
Jリーグ・チームの収入が増加するだろう」
という金銭・営業面が目的でした。
②なぜ2ステージ制を2年で廃止したのか?
営業目的で導入された2ステージ制がなぜ2年で廃止されたのか?
廃止が決定された時のチェアマンの村井満さんが直々に説明しています。
巷では「DAZN(ダゾーン)がJリーグ放映権を10年2100億円という驚愕の価格で契約した」ことで
Jリーグの収入が増えて2ステージ制が不要となったと言われていました。
しかし村井満さんはダゾーンではなく
AFC(アジアチャンピオンズリーグ)のスケジュール変更によって
チャンピオンシップに出場しないチームのサポーターは11月上旬から2月下旬の約4カ月
自チームのサッカーを見る事ができない。
それは日本サッカーにとってよくないのでは?という議論から廃止になったとおっしゃっています。
(※2)
いやいや
2ステージ制導入での
年間勝ち点1位が年間チャンピオンになれないのは不公平という
チーム関係者・サポーターの不満は無視し
※実際に2016年、年間勝ち点3位の鹿島が年間勝ち点1位の浦和レッズを破って年間チャンピオンになっている
営業目的で世界基準の制度(1ステージ制)とは異なる制度を導入して
世界基準と乖離させといて、いまさら日本サッカーのため??
この村井チェアマンの廃止理由は
導入理由を考えて全く理解できるものではありませんでした。
このような制度の導入・廃止を行った過去のある
Jリーグが考案する秋春制については
Jリーグ側の言う目的・背景は鵜呑みにしてはいけないことが分かります。
チーム関係者・サポーターは虫の良い表面的な話で判断せず
制度の詳細やデメリットについて、導入決定前に注視・意見する必要があります。
秋春制について
現行の春秋制の課題をあげたうえで
Jリーグが考案している秋春制について解説していきます!
現行の春秋制の課題
現行の春秋制の課題は
〇欧州サッカーとの日程
欧州サッカーの開催期間と合っていないことで
・日本から海外へ移籍し辛い
・移籍の前がかりとして、海外チームの練習に参加し辛い
〇ACL日程
ACLの開催期間と合っていないことで
・ACLの大会期間中にJリーグのシーズンが切り変わってしまう
※浦和レッズが優勝したACLでJリーグの2022年・2023年2シーズンをまたいでしまい
準決勝まで(2022年)と決勝戦(2023年)で監督も選手も変わってしまい
1大会を別のチーム編成で戦うことになったしまった。
〇夏場の猛暑日での試合
夏場に試合を行うことで
・日本特有の高温多湿の猛暑日でサッカーをしないといけない
などがあげられます。
これまでの「秋春制」導入の経緯について
これまでの議論
2023年に再び秋春制の議論が再熱しましたが
これまでも幾度と無く秋春制への移行の議論が行われ
冬国問題などで結論が出ないまま議論は棚上げされてきました。
ACLのスケジュール変更
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は元々日本や東アジア諸国と同じく
春秋制で行われていましたが、2023/24シーズンからは
中東諸国のシーズンに合わせて秋春制に変わることが決定されました。
ACLからも日本サッカー協会に対して日程を合わせるように要請がありました。
そのため日本サッカー協会としてもJリーグに対して要請をしています。
この、ACLのスケジュール変更がJリーグの秋春制移行の再考に大きく影響していると言われています。
Jリーグの「秋春制」導入案(スケジュール)について
移行後の秋春制のスケジュール案です。
予定されている秋春制の大きな特徴としては
(※4)
■メリット
・6,7月の猛暑日の試合を避けることができる
・冬場の試合は現行の春秋制と前後数週間しか変わらない
・ACL、欧州サッカーと同時期のシーズンを送ることができる
シーズン中の欧州チームへの移籍が無くなり安定したシーズンをおくれる。
・秋春制を導入しているリーグ(特に欧州)”からの”移籍、”への”移籍が増える
・1月前後はウィンターブレイクとして試合を中断できる
■デメリット
・開催期間が短くなることで日程が過密になり水曜日開催が増える
・2,3週間だが、冬の試合開催期間が伸びる事で雪国チームの負担増
・ウィンターブレイク中も練習・練習試合が行われるが雪国チームの負担増
・日本では学校や企業の季節区切りを春とすることが定着しており
この慣例は選手の入退団に悪影響を及ぼす(※3)。
・ブラジルは日本と同じ春秋制だったから移籍が流動的だったが
シーズンがズレてしまうとJリーグのブラジル人選手消滅する可能性がある(※4)。
実際に2020年から移行したタイリーグはブラジル人が激減して欧州選手になった実例がある。
・移行したとしても7月最終週・8月の猛暑日は試合を行わないといけない。
「秋春制」への賛否について
■賛成
・欧州のスケジュールと合うことで移籍や移籍前の練習参加がし易くなる
・夏場の猛暑日での試合を避けることができる
■反対
・雪国チームは冬開催期間に連続アウェイの試合が増える
・雪国チームはウィンターブレイク期間の練習・練習試合の負担が増える
先行導入しているWE(女子)リーグについて
Jリーグより先に秋春制を導入しているWEリーグは
8月下旬にカップ戦がスタートし、5月上旬にリーグ戦が終了し
Jリーグが想定するスケジュールに開始・終了時期は近いです。
しかし、2月は下旬までウィンターブレイク期間を設けることができています。
11チームしかチームがいないので余裕を持った日程を組めています。
秋春制への著名人の意見
西大伍(賛成派/コンサドーレ札幌)
自信のyoutubeチャンネルにて「雪国クラブにもメリットがある」と語っています。
メリットの理由としては
・冬場の試合が増える上で雪国の観客は冬場の移動手段が確立している。
首都圏は交通機関が止まるなど影響が大きい
・キャンプ時期が夏場になるので、避暑地として雪国がキャンプ先になる。
吉田麻也(賛成派/選手会会長)
DAZNでの内田篤人との対話のなかで、選手目線で賛成理由を語っています。
・夏場はサッカーをやる環境じゃない
・ヨーロッパと合わせるために、いつかやるなら自分が会長の時がタイミング
堀米悠斗(反対派/アルビレックス新潟キャプテン)
「この前の選手会でも言ったけど、冬の雪が積もった(新潟の練習場がある)聖籠(せいろう)に来て、説明してほしいですよ。長靴はいて、ずぼずぼ(雪に)埋まりながら、聖籠まで来て凍えながらその説明をしてほしいんですよ」
■中立派
セルジオ越後さん
「また言っているのかという感じ。今回も実現は難しいだろうね」
「秋春制への移行よりも手っ取り早くできる、Jリーグの魅力を高める改革がほかにあると思う」
全国のJリーグサポーター達の意見
■賛成派
秋春制議論に関してはずっと見てきたが、今回のような最大限雪国に配慮された案(とくにB案)はなかなか出てこない。実際、前回2017年の案は、秋春制推進派のこの私でも反対に回るくらいの酷い案だった。この辺で手を打つべきでは? でないと将来、もっと酷い案が出てきてゴリ押しされてしまうかもよ pic.twitter.com/hhFZEFFigU
— 秋春制推進派 (@akiharusei8) July 1, 2023
■反対派
秋春制、本当にこのまま推し進める?
— TORCIDA TOYAMA (@Torcida_Toyama) May 19, 2023
1クラブたりとも移行による負担が掛かり、置いていかれることがあってはならい。
BRIGADA F.A.N.S.(新潟)
HEAVEN SENDAI(仙台)
ULTRAS A.C.M.Y(山形)
BLUE+AKITA(秋田)
TORCIDA TOYAMA(富山)#albirex#VEGALTA#montedio#ブラウブリッツ秋田#カターレ富山 pic.twitter.com/BHw4OiHfgJ
最新情報 2023/08/15更新
J1クラブの社長としては珍しく
アルビレックス新潟の中野社長が秋春制移行に反対表明されました。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます!
Jリーグが過去に導入した制度にはじまり
現行の春秋制の課題、予定の秋春制のスケジュールとメリット・デメリット
について詳しく解説しました。
立場によってメリット・デメリットが大きく変わる秋春制移行問題について
皆さんはどのように感じたでしょうか?
<まとめ>
・ACLが2023年シーズンから秋春制に変わることでJリーグも秋春制への移行を検討
・過去にJリーグは世界基準よりも営業面を優先して2ステージ制を導入したことがある
・現行の春秋制は欧州サッカーとの日程のズレや夏場の猛暑日での実施など課題がある
・Jリーグは秋春制の導入について2023年以内に結論を出すスケジュールで動いている
・予定されている秋春制には立場によってメリット・デメリットがある
感想
個人的な感想としては
過去に営業目的で2ステージ制を断行したJリーグ側が行う改革には
とても懐疑的な見方をしてしまい、決定のプロセスを注意深く見る必要があると感じています。
野々村チェアマンの元で再考されている秋春制について
元Jリーガーで選手目線に立て、コンサドーレ札幌で社長を経験し雪国チームの現状を把握している
野々村さんだからこそデメリット、特にチーム間での不公平が発生せずに
メリットを享受できる秋春制を模索してくれると信じたいです。
参考文献
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